ペットロスのこと知っておきたい

「ペットロス」とは「ペットの喪失による悲しみ」のことです。
家族であり、友達でもある愛犬や愛猫。かけがえのない存在である子を失う悲しみは、計り知れないものです。一方で「こんなに悲しんで自分はおかしいのではないか」と悩んだり、周囲の人に「たかがペット」と言われ、さらに深く傷ついたりする人も多くいます。

しかし大切な愛犬や愛猫を失って悲しむことはおかしいことではなく、決してたかがペットではありません。

ペットロスを正しく知ることで、心の準備ができるようになります。そしてほんの少しでも傷が癒え、愛犬や愛猫に「ありがとう」といえる日が来るでしょう。
愛犬や愛猫と共にいる以上、避けて通れない「ペットロス」について、今一度考えてみませんか?

ペットロスとは?

「ペットロス」は文字だけみると、ペットの「喪失(失う)」となりますが、実際はペットを「失った悲しみ」をさします。

ペットは家族でもあるため、失った悲しみは測りしれないものです。


愛犬や愛猫を失う理由はさまざま。寿命、病気、不慮の事故、安楽死など愛犬や愛猫の死による喪失、そして迷子や脱走、譲渡などの喪失もペットロスの原因となります。いずれも飼い主さんには、ショックと強い悲しみをもたらす喪失です。

ペットロスでよくみられる反応や症状

強い悲しみや後悔とともに、次のような反応や症状が見られることがあります。反応や症状の強さは人によって異なります。

 

🌳 涙がとまらない。電車の中や授業中、仕事中にも泣いてしまう。

🌳 学校や職場を休む。

🌳 何もやる気が起きない。

🌳 愛犬や愛猫の写真を見ることができない、
     愛犬が使っていたおもちゃやリードに触れない。

🌳 一緒に散歩した道がつらくて歩けない。

🌳 死んだはずの愛犬の姿を見たような気がしてしまう。

🌳 食欲がわかない。または食べすぎてしまう。

🌳 眠れない。またはずっと眠い。

🌳 怒りっぽくなる。

🌳 自分のことを責める。

🌳 過呼吸になる。

🌳 吐き気や嘔吐・下痢をする。

🌳 肩こりやしびれが起きる。

🌳 頭痛やめまいがする。

🌳 疲労感が取れない。

🌳 じんましんができる。

などです。
いくつか重なって起こることもありいずれにしても大変つらいものです。

周囲の無理解が傷を深めることがある

周囲の人から、「ペットが死んだくらいで」「たかがペットなのに」「いつまでも落ち込んで泣いて」「人間の死に比べたら」など、心ないことを言われた経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。言った本人は励ましのつもりだとしても、これらの言葉は悲しみや孤独感をさらに強くさせてしまいます。

言われたことで、「泣いている自分はおかしいのかな」と思ってしまうこともあります。また一番理解してほしい存在であるご家族や親しい友達、恋人に言われたときのショックは大きく、ペットロスが長引く原因になることもあります。同じ立場にならないと、理解してもらうことはなかなかむずかしく、また同じ立場でも、一緒に過ごした経験はそれぞれ違います。そして何を言われたとしても、その喪失を悲しむことは決しておかしいことではないと認識しておく必要があります。

ペットロスの期間も人それぞれ

短期間で気持ちが切り替わった人、どんなに時間が経過しても気持ちがもとに戻らない人、ペットロスになっている期間も人によって異なります。「あの人は早く回復したのに、自分は何か月経ってもつらい」など人と比べる必要はありません。

アイペット損害保険株式会社では、2017年にペットロスに関する調査を行っています。

「ペットロスの症状が落ち着くまでの期間」についての質問に対する回答が、「3か月未満」と答えた方が51.0%だった一方で、1年以上続いている方が8%、今もまだ続いているという方が4.7%いらっしゃいます。ペットロスが落ち着くまでの期間は、本当に人それぞれであることがわかります。

「悲しみのステップ(段階)」を知っておく

悲しみにはステップがあることを知っておきましょう。

悲しみのステップについて日本のペットロス第一人者である故鷲巣月美先生は、著書「ペットの死その時あなたは」の中で、「否認・交渉・怒り・受容」の4ステップで説明しています。

またアメリカの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスは著書「死ぬ瞬間」で、人の死とその過程のステップを「否定・怒り・交渉・抑うつ・受容」の5つに分けて説明しています。5つのステップをみてみましょう。

1 . 否定

愛犬や愛猫の死や重い病などに直面したとき、誰もが「まさかうち子が死んだなんて」「うそだ!」と否定します。

2 . 怒り

「私が早く病院に連れて行けばよかった」「お母さんが窓を開けたから、猫が出てしまった」「あの獣医さんのせいだ」など自分を含め、誰かに対して怒りを覚えるようになります。

3 . 交渉(取引)

「もうトイレを失敗しても怒らないから、神様病気を治してください」「あの子が助かるなら、自分の命と引き換えてくれていい」などお願いをするようになります。特に、不治の病や余命を告げられたとき、死が近いときによくみられる段階です。

4 . 抑うつ

「あの子がいなければ生きていけない」など、前向きな気持ちになれない段階です。眠れなかったり、仕事に集中できなくなったりすることもあります。

5 . 受容

「あの子は本当に死んでしまったんだ」とようやく事実を受け入れられるようになります。まだ深い悲しみの中にいますが、少しずつ立ち直っていく時期に来ています。

 

受容にいたるまでのステップは人によって順が異なったり、当てはまらない段階があったりします。悲しみのステップをひとつひとつ踏んでいくことで、ほんの少しずつでも心が癒えてくるようになります。

まとめ

最愛の家族を失うことで飼い主さんがひどく悲しみ、ペットロスになることは正常な反応です。眠れなかったり涙が止まらなかったり、食欲がなくなったりすると「自分はおかしいのでは」「病気かも?」と心配になるかもしれません。しかしこれらは、愛するものの死を受け入れるために必要な反応です。

悲しみのステップをひとつひとつ踏むことで時間がかかったとしても愛犬や愛猫の死を受け入れ、「ありがとう」といえる日は必ず訪れます。

※腹痛やめまいなど体に症状が出たときは、医療機関を受診してください。
また周囲にペットロスの人がいたとき、その人の気持ちを理解し、温かく共感し見守ることができるようになります。


参考文献・サイト
・「新版 ペットの死その時あなたは」 鷲巣 月美著 三省堂
・「死ぬ瞬間 死とその過程について」 E・キューブラー・ロス著 読売新聞社
・動物病院119番 兵頭哲夫・柿川鮎子 文芸春秋
・ペットロスに伴う悲嘆反応とその支援のあり方
木村 祐哉
心身医学49 巻 (2009) 5 号

・ペットロス体験を「症候群」と称することによる影響
木村 祐哉・川畑 秀伸・大島 寿美子・片山 泰明・前沢 政次
ヒトと動物の関係学会誌 vol.24 63-70(2009)

・シンポジウム“小動物の疫学―エビデンスに基づく獣医療(EBVM)の確立に向けて”ペットロスの疫学
木村祐哉
獣医疫学雑誌 2017年21巻1号 16-18

 

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