最近ではコロナ禍も影響し、犬や猫などのペットを飼い始める方が増えてきています。
それに伴い、高品質なペットフードやサプリメントを与えるなど、ペットに対する健康志向も高まっています。
身近で簡単に摂取ができる「乳酸菌」については、飼い主様の関心も高く、その需要も増加傾向にあります。
乳酸菌を生活に取り入れ、愛犬・愛猫の健康について今一度考えてみましょう。
犬や猫などにおいての乳酸菌の効果は、
などと多岐に渡り、ペットに対する健康志向の増大にともない、たくさんの場面で使用されています。
この記事では、犬や猫に対する乳酸菌の役割と期待できる効果について解説するとともに、最近注目されている「竹に含まれる植物性乳酸菌」についてもご紹介いたします。
乳酸菌を生活に取り入れ、愛犬・愛猫の健康について今一度考えてみましょう。
乳酸菌とは、糖(ブドウ糖や乳糖など)を利用して乳酸を作り出す細菌のことを言います。
この乳酸菌は、「発酵」というシステムを使って生活・増殖しています。
すなわち、乳酸菌や酪酸菌などの微生物は、自分たちが生きるために糖を分解してエネルギーを得ているのですが、その過程で生じた分解産物が「人間にとって有益なもの」になる場合を発酵と呼びます。
一方で、有益ではないものに変化した場合は「腐敗」と呼び区別しています。
乳酸菌は代表的な種に、
などがあり、我々の生活にとっても身近な菌がたくさん存在しています。
最近では「菌活」という言葉もよく耳にするようになり、体に良い働きをする菌を積極的に食事やサプリメントから取り入れる方が増えてきています。
また、整腸作用や免疫強化を期待してヨーグルトなどの乳製品を摂取するよう心がけている方も多いと思われます。
その考えは犬や猫などのペットにも通ずるところがあり、フードやサプリメントに乳酸菌が配合されている商品も市場には多数あります。
お腹を壊してしまった時や日々の健康管理として、フードにヨーグルトをトッピングしている飼い主様もいらっしゃいます。
犬や猫においても乳酸菌を摂るメリットはたくさんあり、
などとその作用は多岐に渡ります。
論文等でも乳酸菌の効果は証明され、犬に乳酸菌製剤を与えた研究では、抗酸化物質であるビタミンEの腸管での吸収を促進し、生体内における抗酸化力を増加させることが分かっています。
また、乳酸菌などのプロバイオティクスを投与することで、クロストリジウムという腸管内で毒素を産生する菌の発育を抑制し、有益な腸内細菌の有意な上昇を示したといった報告もあります。
近年では生活環境の変化から、犬や猫が皮膚炎や消化器症状などのアレルギー症状を示すということも多くあります。
これらは難治性疾患で、通常ステロイドなどの抗炎症薬を用いて治療を行いますが、副作用の面からも、他の治療法や補助療法がないかを模索している獣医師や飼い主様はたくさんいらっしゃいます。
そういった場合に、一般的な内科治療に加えて、乳酸菌製剤が添加されたアレルギー軽減用療法食やサプリメントを用いて治療を行う場合も多くなっています。
人における最近の研究によって、中性脂肪や血中コレステロール値を低下させる働きも分かっており、ますますペット業界への乳酸菌の進出が進むことが考えられます。
ただ、大量に与えたり合わない場合には、調子を崩してしまう事もあるので、ペットの様子を見ながら与えることが重要です。
乳酸菌と聞くと、「ヨーグルトや乳飲料に入っている菌」と考える方が多いと思いますが、実は乳酸菌には、
の2種類が存在します。
この2種類は、乳酸菌が住み着く場所によって区別されます。
つまり、動物の腸やヨーグルト・乳飲料などの動物由来のものに住み着く乳酸菌を動物性乳酸菌と呼び、お漬物(野菜)やお味噌(豆類)などの植物に住み着く細菌のことを植物性乳酸菌と言います。
現在発見されている乳酸菌は、そのほとんどが植物性のものと言われています。
植物性乳酸菌は、セルロースという硬い壁を持った植物に住み着き、また塩分が高かったり乾燥しているなど発育が難しい条件下でも生育する乳酸菌です。
そのため、牛乳など高栄養で簡単に発育できるものに住み着く動物性乳酸菌よりもパワーがある(活性がある)と考えられ、様々な場面で活躍しています。
上記で述べた通り、植物性乳酸菌は高塩濃度や栄養が十分でないような状況下でも生き抜くことができる強い生命力を持っています。
「生きて腸まで届く乳酸菌」とはよく聞くと思いますが、まさにこれが植物性乳酸菌が持つ力です。
古来より日本人は、野菜を糠に付けて漬け物を作ったり、大豆や米を発酵させて味噌や醤油などの調味料を作ってきました。
これはヨーグルトや乳酸菌飲料の歴史とは比べものにならず、植物性乳酸菌はまさに日本人の体になじんだ乳酸菌と言えます。
また、動物性乳酸菌のエネルギー源は乳中の乳糖を主体としているのに対し、植物性乳酸菌は野菜や大豆、米などに含まれる様々な糖、つまり、
などの多くの糖を利用することができます。
厳しい環境下でも育ち、いろいろな糖質をエネルギー源として利用できる事こそが植物性乳酸菌の特徴であり、様々な開発や研究が行われるゆえんです。
ラクトコッカスラクティス菌(Lactococcus lactis)は、乳酸菌の一種で、連鎖状の形態を持つ細菌です。
生乳やチーズ、バターなどの発酵食品からその多くが検出されますが、植物からも分離されます。
pHや塩濃度の変化に強い細菌で、自然界に広く分布しています。
ラクトコッカスラクティス菌の菌株の一つであるH61の投与によって、犬のエイジングレベル(老化に関わる外観や体臭、生活習慣の様子など)の改善の可能性があるという論文もあり、今注目されている細菌です。
植物性乳酸菌は、米や豆などに住み着く乳酸菌だけではありません。
竹に住み着く乳酸菌も存在し、伐採した竹材の有効活用として期待されています。
竹材を粉末にし、嫌気状態(空気がない状態)で自然発酵させると乳酸菌が大量に増殖することが分かっています。
竹粉の乳酸発酵は、とりわけラクトコッカスラクティス菌によって行われています。
また、
ということから、竹材を動物の飼料(餌)に添加することで、腸内環境を整えたり便の臭気を軽減させることが可能であると言われています。
その際、乳酸菌は生きた乳酸菌でも死滅した乳酸菌でも、それら効果は変わらないことが示唆されており、保存性や利便性から死滅した菌を用いての商品化が進んでおります。