大丈夫ですか?わんちゃんの【歯周病】その①

「わんちゃんは虫歯にならない」とされていましたが、1990年代の調査でそれが誤りであることも明らかになりました(*1)
ただ、頻度としては虫歯よりも歯石、それが原因となった歯周病で動物病院に通うことの方が、わんちゃんの場合は依然多いようです。

それでは、人間とわんちゃんを比較しながら
【わんちゃんの歯周病】について見てみましょう。

★予防については 「大丈夫ですか?わんちゃんの【歯周病】その②」で、詳しくお話していきます。

*1. ” Dental caries in the dog.” Veterinary Dental Service, Guelph, Ontario, Canada.Journal of Veterinary Dentistry [1998, 15(2):79-83].

人間=虫歯になりやすい
歯垢が歯石になりにくい

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わんちゃん=虫歯になりにくい
歯垢が歯石になりやすい(歯石が付きやすい)

 

≪ わんちゃんと人間の口内環境の違い ≫

▲pHの違い▼
pHは物質の酸性・アルカリ性の度合いを示す数値であり、

人間はpH6.5~7.0 弱酸性
わんちゃんの口内はpH8.5~9.0 アルカリ性

虫歯は、酸性の環境の下、口内で虫歯菌が代謝して糖から酸を作り、それが歯の表面の組織を破壊していくもの

人間=弱酸性→虫歯菌が糖を作りやすい環境
わんちゃん=アルカリ性→酸性にはなりにくく、従って虫歯菌が繁殖しにくい

 

 
▲唾液に含まれる酵素の違い▼

人間の口内→弱酸性

唾液には「アミラーゼ」(食物中の炭水化物(でんぷん)を糖に分解する酵素)があるため、虫歯の原因となります。

わんちゃんの口内→「アミラーゼ」(酵素)がない

「アミラーゼ」がないため、口の中に糖があまり留まりません。

 

 

▲歯の形状の違い▼

人間の歯→大きく分けて、切歯(前歯)、わんちゃん歯(糸切り歯)、臼歯(奥歯)

に分けられます。文字通り臼のような形をしている臼歯が多いため、放っておけば噛み合う面のくぼみに虫歯菌が溜まります。

わんちゃんの歯→切歯、わんちゃん歯、前臼歯(裂肉歯)、後臼歯

です。そのほとんどが薄くとがった形をしているので、虫歯菌が溜まりにくいのです。

 

 
こうした違いが理由で、わんちゃんには虫歯が少ないと考えられています。

わんちゃんの歯周病は、軽度であればほとんど症状が出ない為、放置してしまうことが多いのですが、日本の3歳以上のわんちゃんの約8割が、歯周病および歯周病予備軍と言われています。

大きな病気を引き起こす可能性がある歯周病菌には注意をしなければいけません。
次に、わんちゃんに多きみられる歯周病と歯周病菌が起こす恐ろしい病気について記述します。

歯周病=歯周病菌が起こす歯茎炎症。
歯茎の炎症は「歯周炎」であり、「歯周病」と呼ばれているものは、まわりの骨にまで炎症が及んでいるものを言います。

≪ 歯周病の原因 ≫

大きな原因は歯垢と歯石です。これは食べたかすとは違います。

▲歯垢▼
歯の表面は唾液成分から作られた薄膜で覆われており、この膜は食事によるphの変化から歯を守る役割を果たしています。
そこに細菌が付着するのです。
通常、歯の表面に細菌が付着しても唾液で流されるのですが、奥歯や歯間、歯茎付近は細菌が流されにくく、唾液のネバネバした成分で歯にくっついてしまいます。
これが歯垢です。

口の中にとどまった細菌は、糖分を糧にどんどん増殖し続けてしまいます。

 
▲歯石▼
歯石は、歯垢が唾液に含まれるミネラル物質とともに硬くなったものです。
歯垢は指でこすったり、歯ブラシで落とすことができますが、硬くなってしまった歯石は歯ブラシで落とすことはできません。
3~5日で歯垢は歯石になってしまいます。

そして表面がザラザラした歯石には、さらに歯垢がつきやすくなります。

≪ 歯周病の症状 ≫

歯周炎、歯周病の症状には下記のようなものがあります。

▲歯肉に赤みが出る▼
歯石や歯垢に含まれる歯周病菌が原因となり、歯茎に炎症が起きるようになります。
歯のつけ根あたりが赤く腫れるのですが、この時点では見た目以外の変化は特に見られず、ほとんどのケースで症状も出ません。

普段から口内や歯をチェックしている飼い主さんであれば気付くことができるでしょうが、多くの飼い主さんが見過ごしてしまいます。

 
▲口臭が悪化する▼
歯石や歯垢が歯につくと、生臭いような口臭がしてきます。
これは歯垢や歯石の元になっている細菌が、糖を分解する過程で臭いを発する為です。

口臭が気になってきたら、かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。

 
▲歯がぐらついてくる▼
炎症が悪化してくると、歯茎が徐々に溶け始め、歯がぐらつき始めます。

本来歯茎で見えない歯根部(歯の根元)が露出して、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。

 
▲目の下や顎の下の腫れ▼
歯周病菌が歯の根元の奥で増殖し、歯の根元に歯周病菌と血や膿が溜まるようになる場合があります。
悪化すると、歯の根元の腫れがひどくなり、眼の下や顎の下まで腫れてきてしまい、顎の骨が溶け始めてしまうこともあります。

穴が開いて膿が出て来ることもあります。

 
▲口の痛みが出る▼
歯の根元に大量のが溜まり、痛みの原因となることがあります。

痛みから硬いものを噛めなくなることもあります。

 
▲心臓や腎臓などの疾患▼
歯周病菌が血管に侵入して、心臓腎臓などに疾患を引き起こしたりする場合もあります。

症状の種類や程度は重症度によって変わりますが、かなり進行しないと症状がわからない場合も少なくありません。

 

次回は歯周病の治療や予防と歯磨きが苦手なわんちゃんへのアドバイスをお伝えします。

 

 


参考サイト
 
・歯周病の原因『歯垢』や『歯石』はどうやって取るの?【獣医師が解説】https://wanpedia.com/dental_care_scale/
・放置すると恐ろしいことに!犬の歯周病とは【獣医師が解説】https://wanpedia.com/bad_breath/
・歯磨き嫌いな愛犬に、歯磨き上手になってもらうには【獣医師が解説】https://wanpedia.com/tooth_brushing/

 

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