我々日本人においては、まだあまりメジャーではない「ジビエ料理」
鹿やイノシシなどの野生動物を食す習慣は日本人にはあまりないので、ジビエ料理について深く知らない方も多いです。
この記事では、
ジビエとは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味するフランス語です。
ヨーロッパにおいてジビエ料理は、貴族の伝統料理として古くから愛されてきました。
現在の日本においては、鹿やイノシシなどの野生動物が増え、農地や生活環境を荒すことが増えています。
そのため、捕獲をしてその数を減らしていくことになるのですが、野生鳥獣の捕獲後の有効利用ができていないことが現状です。
捕獲された鹿は、そのほとんどが山に埋められる、または焼却処分されています。
その理由として、例えば高知県においては、食用に利用するには「ライフル銃またはスラッグ弾を使用し、散弾は避けること、また個体の狙撃部位は頭部、頸椎、胸部とすること」といった規定があることも挙げられます。
腹部など別部位を射抜いた場合は、食中毒起因菌等により食用部位が汚染されている可能性があり、食品衛生法の観点から食用には適さないのです。
実際に平成25年度の高知県において、19,093頭の鹿が捕獲されているのに対し、食用として利用されたのはたったの約300頭(1.6%程度)となっています。
残りの18,800頭については処分されていると言うことで、ジビエ利用の早期の対策が必要となっています。
鹿やイノシシなどのジビエも、人間と同じように大切な命です。
生を受けて山に住んだ鹿やイノシシを、増えすぎたからと我々の都合で駆除するだけでよいのでしょうか。
ジビエは自らの力で野山を走り回り、生き抜く強靭な肉体を持っています。
そのため、脂肪が少なく筋肉質で、栄養価が高いといった特徴があります。
また、ジビエ料理には野生特有の香りや風味、力強い野生のうまみがあります。
そうして、赤身でヘルシーな肉は、低カロリーで高タンパク・高い栄養価を持つ良質な栄養源として、健康を考える人々に注目されてきました。
日本においては、11月15日から2月15日まで(北海道においては10月1日から1月31日まで)が狩猟の解禁時期となっています。
厳しい冬に向けて脂肪がたっぷりのった時期に狩猟をおこないます。
生や加熱不十分のジビエを食べることで、人獣共通感染症(食中毒など)になってしまう事故が時々みられます。
ジビエを食す場合は生食は絶対に避け、肉は中心部まで火が通るようにしっかり加熱することが重要です。
これによって、ほとんどの有害微生物や寄生虫が死滅することが確認されています。
ジビエを調理する場合には、捕獲からテーブルに並ぶまでの衛生管理を徹底する必要があります。
ジビエのペットフード利用への取り組み事例も多くあります。
長野県小諸市では、捕獲された鹿を搬入・解体し、鹿肉ペットフード商品を開発する取り組みが行われています。
また、京都府京丹波町においては、捕獲された鹿やイノシシを食用向けと同様の解体処理手順、衛生管理で加工し、衛生面と品質にこだわったペットフード作りを実現しました。
ジビエの処理費用の削減や新たな地域ブランド商品を作り出す試みが、全国各地で行われています。
鹿やイノシシなどの野生動物の捕獲とともに、大切な命の有効利用の取り組みも重要となってきます。
そうしてジビエは、人間の食材として美味しくいただくだけでなく、地域活性化やペットフード利用としてもたくさんの需要が期待されています。