「痒がっている!」「赤みがある!」「毛が抜けている!」 など、皮膚のトラブルは見た目でよく分かるので、飼い主さんが気づいてあげられることが多いです。 犬や猫の皮膚病の原因はたくさんあり、その原因によって治療法も異なるため、適切な診断が必要となります。 この記事では、犬と猫においてよくみられる皮膚トラブルについて、その原因や対処法などを解説しています。 痒みは痛みよりもつらい…と言われることもあります。 愛犬・愛猫が皮膚トラブルを抱えている場合には、ぜひ読んでみてくださいね。
犬と猫の皮膚疾患の原因はたくさんありますが、中でも、
による皮膚トラブルが多い傾向にあります。 では、以下で分けて説明していきますね。
犬の皮膚トラブルの中で最も多い原因が感染症です。 ひとえに感染症といっても、
…とたくさんの原因があります。 なかでも「膿皮症(のうひしょう)」という細菌感染による皮膚病は多く、赤みや痒み、皮疹をともなうことが特徴です。 発症する要因として、季節性や何かしらの基礎疾患があることが多く、難治性なこともあります。 抗生剤の飲み薬や塗り薬、抗菌シャンプーなどで治療をしていきます。
また、独特のにおいと見た目を呈すマラセチアは、犬の外耳炎の原因にもなります。 耳をよく掻く、顔を床にこすりつけるといったことがある場合には、
などをよく観察するようにしてください。 猫においては、細菌感染による皮膚トラブルは少ないですが、ノミやダニが付くことによるかゆみや以下でお伝えするアレルギーは多く生じます。
アレルギーは、本来なら体にとって無害である物質が自身の抗体に結合し、様々な炎症反応を引き起こす疾患のことです。 花粉やほこり、ノミ・ダニや食物などに対してアレルギー反応が生じ、強い痒みが生じることが特徴です。 柴犬はアトピー性皮膚炎の好発品種であり、各種アレルギー反応により痒みや脱毛など皮膚トラブルが生じやすい犬種です。 アトピー性皮膚炎の原因は多々ありますが、活性酸素も関与していると言われています。
※活性酸素:他の物質を酸化させる力が非常に強い酸素のこと 老化や様々な病気に関与しています。
皮脂が活性酸素と結合すると、「過酸化脂質」というより体に悪い影響を与える物質に変化します。 アトピー性皮膚炎の犬の皮膚はバリア機能が低下しているので、過酸化脂質の影響をもろに受けてしまいます。 活性酸素は、環境の汚染や食品添加物、残留農薬などが体の中に取り込まれ発生します。 スキンケアをしたり、良質な食事を与えることは、活性酸素を取り除くことにつながり、アトピー性皮膚炎の管理にも重要と言えそうですね。
ホルモンの異常(内分泌疾患)で皮膚に症状が出る場合もあります。 犬で多いホルモンの異常は、
などがあります。 痒みを伴わないことが特徴で、皮膚の病変以外にも、
などといった全身症状がみられる場合もあります。 血液検査で診断がつき、生涯にわたって薬を投与する必要があります。
猫の皮膚トラブルでは、何かしらのストレスで毛を舐めちぎってしまうことも多いです。 皮膚に炎症がみられず、おなかや太ももの内側など「舐めやすい場所」が脱毛することが特徴です。 ストレスの原因は、環境の変化や病気の影響、同居動物との相性など、その子によってまちまちです。 愛猫の様子をよく観察して、取り除いてあげる必要があります。
どんな皮膚トラブルであっても、ブラッシングやシャンプー、保湿、服を着せたり…など皮膚を守ってあげることは非常に重要です。
痒みで顔を掻いたり目をこすって傷つけてしまうこともあるので、 エリザベスカラーが必要となることもあります。
感染症やアレルギーが原因の皮膚トラブルでは、薬用シャンプーでのシャンプー療法のみで皮膚病が劇的によくなるケースもあります。 薬用シャンプーには、抗菌作用のあるもの、保湿作用のあるもの…など様々な種類があるので、使用に関しては主治医の先生とご相談ください。
犬と猫の皮膚トラブルには様々な原因があります。 犬では感染症・アレルギー・ホルモンの異常が、猫ではアレルギーやストレスが原因となっていることが多く、適切な診断と治療が必要となります。 どんな皮膚トラブルであっても、ブラッシングや保湿などで皮膚をケアしてあげることは重要です。 愛犬・愛猫の皮膚の状態をいま一度確認してあげましょう!
獣医師 渡部美沙