令和4年6月1日より、販売業者(営利目的で動物販売をする、ペットショップ、繁殖業者、ブリーダー等)における犬や猫へのマイクロチップの装着と環境省のデータベースへの登録が義務化されます。 現時点で飼育している犬や猫においては、義務ではなく努力義務となりますが、装着するべきかどうか悩んでいる方も多いことが現状です。 \ マイクロチップについてもっと教えて / ここからはマイクロチップの正体や、いろいろ気になることについてみていきましょう。 法律については「改正動物愛護法」MC義務化の6月1日より施行!をご覧ください。
マイクロチップとは、直径1.2mm、長さ8~12mm程度の細長いカプセル状の電子器具のことで、体内に入れても大丈夫な安全ガラスで覆われています。 マイクロチップには15桁の個体識別番号が記録され、専用の読み取り器をかざすことで表示されます。 この個体識別番号をもとに、環境省のデータベース上であらかじめ登録された名前や連絡先など飼い主(所有者)の情報が紐づけられるようになっています。 ただし、情報にアクセスできるのは、自治体や警察に限られます。 専用の読み取り器を使って情報を転送するしくみなので、マイクロチップに電池は含まれていません。
耐久年数は30年ほどといわれており、一度装着したら、その犬や猫の生涯にわたり半永久的に使用ができます。
このマイクロチップは、犬や猫が逃げてしまったり、地震などの災害、また盗難や事故によって飼い主さんと離れ離れになってしまった際に役立ちます。 装着されているマイクロチップの情報から飼い主さんの特定が可能となり、連絡手段ができるためです。 また、業者や飼い主が身勝手にペットを捨てないよう、殺処分を抑止する効果も期待されています。
「マイクロチップって、装着時に痛そう…」
「体に異物を入れるのは嫌だな…」
と思われ、装着を迷われている飼い主さんは多くいらっしゃいます。 マイクロチップの装着ですが、注射針より少し太めの針がついた専用の埋め込み器を使って、首の皮下に刺して入れるようになります。 注射同様少しの痛みは伴いますが、普通の注射とさほど変わらず、麻酔が必要なほどではありません。 去勢や避妊手術など、なんらかの手術で麻酔をかけるタイミングに同時に装着することも可能です。 装着をしたら、リーダーで読み取りを確認し、完了となります。
ただし、装着しただけでは情報は登録されていませんので、必ず手続きを行うようにしましょう。
マイクロチップの表面の素材には、生体適合ガラスやポリマーが使用されているため、副作用はほとんど報告されていません。 海外においても、これまで何千万頭もの装着実績があります。
装着に関しては、令和4年6月から義務化されるのは、販売業者のみです。
これらの販売業者は、犬や猫を取得した日(生後90日以内の子犬や子猫の場合には、生後90日を経過した日)から30日を経過する日までに、環境省の定める基準に適合したマイクロチップを装着しなければなりません。
ペットショップなどでは、すでに装着された状態で販売されているため、飼い主(所有者)は購入後に自身の情報に変更し、登録する必要があります。 すでに飼っていてマイクロチップが未装着の場合や、業者以外から未装着で譲り受けた場合には、装着は「努力義務」となります。 しかし、すでに装着されている場合は、情報登録、変更については「義務」となります。
※一例です。飼い主の元に来た時には、必ず装着されているはずですが、捨て犬・猫やペットショップ獣医師などその他にもケースがあります。
すでに飼っている動物の場合には、動物病院で装着するようになります。 獣医師が発行したマイクロチップ装着証明書は、飼い主の情報をデータベース上に登録する際に必要となるため、なくさないように保管してください。
パソコンやスマートフォン、紙での申請が行えます。
すでにAIPO(動物ID普及推進会議;公益財団法人日本動物愛護協会、公益社団法人日本動物福祉協会、公益社団法人日本愛玩動物協会、公益社団法人日本獣医師会の4団体で構成)やFam、ジャパンケンネルクラブなどの民間団体にマイクロチップ情報を登録済みの場合には、環境省データベースへの移行登録も可能となっています。
なお、移行登録料は無料です。
パソコンやスマートフォンなどで手続きを行い、手数料は1回につき300円がかかります。 紙での申請も可能ですが、手数料は1回につき1,000円に設定されます。 すでに飼っていて装着していない子に関しては、動物病院での装着自体にも料金がかかります。 動物病院によって費用は異なりますが、数千円程度かかります。 さらに、これに上記の登録手数料がかかります。
助成金制度がある市区町村などもあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。
すでに飼っていて装着・登録している子に関しては、手数料無料で環境省のデータベース上へも移行が可能です。
●マイクロチップ装着の義務化知っている?→「知らない」76.3% ●すでに装着している?→「いいえ」75.5% ●装着したいですか?→「いいえ」55.9%
装着させたくない理由は賛否両論あります
●マイクロチップ装着で実現して欲しいこと → 第1位「GPSがつけられる」 → 第2位「健康管理」
執筆者 渡辺美沙獣医師