自由気ままに過ごすイメージの強い猫も、病気になったときや高齢になったときは介護やサポートが必要です。
特に最近は外に出さず家の中で飼うことが増えていること、フードや獣医療の発達により猫の寿命が長くなっています。その分、腎臓病やがんなどの病気になってしまう猫ちゃんも増えるのが特徴です。
少しでも愛猫の苦痛を減らし、幸せな時間を一緒に過ごすためにも飼い主さんができる介護のコツを2回に分けて解説します。
介護の前に知っておきたい猫の特徴
猫の介護では、犬とちょっと違う面があります。
◉猫は基本的には「自分でやりたい」動物であることを理解しておく
飼い主さんはお世話をしてあげたくなりますが、猫は自分で食事をとり、排泄し、好きな場所で寝たがる動物です。何でもかんでもやってあげるより、
飼い主さんが要所要所でサポートする介護が愛猫にとっては快適でしょう。もちろん寝たきりになったときは、しっかりした介護が必要です。
猫は体調不良を隠すことを知っておく
猫は体調不良になってもあまり表に出しません。また犬のように毎日散歩に行くことがないので、飼い主さんも異変に気付きにくいことが特徴です。
そのため「変だな」と思ったときは病気がかなり進行していたということもあります。特に高齢になると増えるのが慢性腎不全ですが、
始めのうちは無症状のことも多く見逃しがちです。飲水量が増えた、よく吐くなどいつもとちょっと違うと思ったら、早めに動物病院にいきましょう。
愛猫の健康をこまめにチェック
介護が必要になる前も、必要になってからも欠かせないのが「
健康状態のチェック」です。
◉動物病院で定期的な健康診断を
人間と同じように猫も健康診断は大切です。動物病院で定期的にチェックしてもらうことは、病気の早期発見・早期治療につながります。元気なときのデータがあると、体調不良が見つけやすいというメリットも。
猫は人間の約5倍の速さで年をとります。かかりつけの獣医師と相談して、体調や性格を考慮しながら半年に1度程度は健康診断をしましょう。
◉食欲の有無は重要
急にフードを食べなくなったときだけでなく、食べる量が増えたときも何らかの病気の可能性があります。食欲の有無は毎日欠かさず確認しましょう。猫は3日ほど食事を摂らないでいると「肝リピドーシス」という病気になる危険性が高まります。食べないときは放置せず、動物病院を受診しましょう。
◉水分摂取量も確認
水を急にたくさん飲むようになった場合は、何らかの病気のサインであることがあります。
特におしっこの量も増えているときは注意が必要です。計量カップで水を量って、およその飲水量を把握しておくと、量が増えたときにすぐわかります。明らかに増えているとわかったら、早めに動物病院を受診してください。
◉排泄物の確認も忘れずに
毎日の排泄物チェックも重要です。排尿量が少ない、または多い、排尿時に痛がる、血が混じるというときは早めに動物病院を受診します。下痢や便秘も受診が必要です。3日以上便が出なかったら便秘と考えていいでしょう。
フードや食器を見直そう
食べることは、猫にとっても大変重要です。
おいしく食べられるように飼い主さんは工夫してあげましょう。
◉食事の見直しをしよう
年齢や状態に合わせたフードを与えます。療法食が処方された場合は、獣医師の指示に従って与えることが大切です。
歯が弱ってカリカリを食べることが厳しくなったら、ふやかしてあげましょう。
ふやかしたフードやウエットフードは、水分補給にもなるのでおすすめです。少し温めると匂いで食欲もわくので試してみてください。
寝たきりになったり、弱ったりした場合は、シリンジ(注射器のような容器)にやわらかいペースト状のフードを入れて食べさせてあげます。勢いよく出すと、むせてしまうので少しずつ与えてください。
認知症の予防や足腰の関節のために、サプリメントを与えるのもいいでしょう。ただし病気がある愛猫については、必ず獣医師に相談してからにしてください。
◉食器は高めに
食器の高さも重要です。首を下げて食べるのは、病気や高齢の猫にとっては大変苦痛ですし関節の負担にもなります。かがまなくても楽に食べられるように、
足の付いた食器で与えるか、台の上に置いてあげるようにしましょう。
次回は
『お部屋を過ごしやすく【生活環境の見直し】』についてお伝えします。
参考文献
・愛猫のハッピーLIFE百科「高齢猫の介護」
https://www.nisshin-pet.co.jp/study/dictionary/cat/category04/kaigo.html
・ネコの看取りガイド 服部 幸 監修 株式会社エクスナレッジ
・猫が幸せならばそれでいい 入交眞巳 小学館
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