
家で看取るか、動物病院にお願いするか
病気や老化で入院中でも、最期は家で看取りたい場合は、連れて帰りたいことを獣医さんに伝えましょう。また最期まで治療を望む場合、そのまま動物病院に入院することになるでしょう。その場合は立ち会えるのか、危篤の際は連絡してもらえるのかなど獣医さんとよく話しあい、希望を明確に伝えることが大切です。
たとえ最期に立ち会えなかったとしても、自分を責める必要はありません。愛犬・愛猫のことを思っていた気持ちが大切です。愛犬・愛猫も、飼い主さんの想いをちゃんとわかっています。
大切な遺体を整えるには
遺体を整えることは、愛犬・愛猫に、飼い主さんができる最期のお世話です。辛い時間ですが、次のような手順を参考になさってください。
◇ 死後硬直が意外と早く訪れるので、自然な格好になるように前足をやさしく曲げておきます。死後硬直してしまったあとや、大型犬などどうしたらよいかわからない場合は、かかりつけの獣医師やペット葬儀会社に相談してみましょう。
◇ 汚れているところはぬるま湯につけたガーゼで拭き取り、ブラシで毛並みを整えきれいにしてあげます。
◇ 遺体の下には、新聞紙やバスタオルなどを敷き詰めます。愛用の敷物があれば一緒に敷いてあげましょう。体液や便が出てくることがあるので、口や肛門周囲にはガーゼを置いておきます。
◇ 涼しい部屋に移動しましょう。夏場はエアコンの温度をできる限り下げておきます。あればドライアイス、保冷剤などを遺体につけておくと、傷むのを防ぐことができます。
◇ ダンボールなど、丈夫な箱があれば中に入れてあげるのもいいでしょう。移動時に、遺体が落ちないよう、底はしっかり固定してください。火葬することを考え、材質は紙にします。棺が欲しい場合、ペット葬儀会社が用意してくれることがあります。
◇ お花や好きだった食べ物、おもちゃを一緒に供えてあげましょう。愛犬・愛猫が寂しくないよう、たくさん声をかけてあげます。

お通夜をする
すぐに火葬をお願いすることもできますが、家族だけで思い出を語りあいながらお通夜をすることも可能です。または近所に飼い主仲間や友達がたくさんいる場合は、来ていただいてもいいですね。
庭に埋めることも可能
庭に埋める場合、匂いが漏れないように、また他の動物が近寄ってこないよう深く掘る必要があります。中型犬以上になると、かなりの労力が必要になりあまり現実的ではありません。どうしても庭に埋葬したい場合は、火葬してからお骨を埋める方法がおすすめです。
転居予定や売却予定がない場合は、自宅の庭に埋葬することも可能です。ただし貸家やマンションの庭は埋められません。お墓を作ったり、お花をたくさん植えたりと、自分だけの供養ができるメリットがあります。
火葬はいくつかの方法から選ぶ
愛犬・愛猫の遺体は、人と同じように火葬してお葬式をしてあげましょう。愛犬・愛猫の火葬にはいくつか方法があります。
・自治体に依頼する
自治体によって火葬のスタイルはまちまちです。多くは返骨がなく共同墓地に葬ることがほとんどですが、個別にお骨を返してくれる自治体もあります。お住まいの地域で、問い合わせてみてください。ペット葬儀会社などより、費用がかからないという特徴があります。
・ペット移動火葬車に依頼する
特別な炉が付いた車で、愛犬・愛猫を火葬してくれます。365日24時間、家まで車が来てくれるので、ご家庭に車がない場合も安心です。匂いや煙が周囲に漏れないよう、配慮しています。火葬が終わったら、お骨を返してもらうことが可能です。
残念ながら、悪質な業者も中にはいます。お寺や霊園と提携しているか、料金体系はどうなっているかしっかり確認してください。またご近所トラブルになることがあるので、火葬をする場所には配慮するようにしましょう。
・動物霊園・ペット葬儀会社に依頼する
動物霊園やペット葬儀会社に頼んで火葬をしてもらう方法です。愛犬・愛猫の遺体を車で迎えに来てもらうほか、ご自分で連れて行くこともできます。
葬儀で気持ちを落ち着かせる
動物霊園・ペット葬儀会社によっては火葬前に、自宅または霊園や葬儀会社で葬儀をしてくれるところがあります。
また、四十九日に僧侶が読経する合同法要を行っているところもあるので、確認してみてください。葬儀や法要は、気持ちを落ち着かせる効果や一区切りつける効果もあります。
動物霊園・ペット葬儀会社を選ぶポイント
今から、いくつか動物霊園・ペット葬儀会社に問い合わせてみましょう。ホームページがあるなら、料金はわかりやすいか、丁寧に説明してあるかをチェックします。
さらに見学OKのところ、料金についてきちんと説明してくれるところがおすすめです。見学可能なら、見学をしてあらかじめ雰囲気を確かめておきましょう。
大切なあの子のお骨はずっと一緒に
自宅に連れて帰ってきたあの子のお骨。なかなか悲しみは癒えないものですが、いつも一緒にいると思うと少し前向きになれるのではないでしょうか。
仏壇に供える
専用の仏壇に、お骨を供える方法です。お骨は骨壺に納め、写真を添えてリビングや愛犬・愛猫が好きだった場所に置きます。毎日声をかけ、お花や好きだったおやつをお供えしてあげましょう。
庭に葬る
好きだった庭、いつも遊んでいた庭にお骨を埋めてあげるのもいいでしょう。遺体を埋めるより深く掘る必要がなく、匂いが漏れる心配がありません。季節のお花で埋め尽くしてあげましょう。
骨をパウダーにして加工する
お骨をパウダーに加工してくれる業者があります。パウダーにすることで、庭に散骨したり、コンパクトな骨壺に納めたりすることができるようになります。また、専用のネックレスやキーホルダーに入れれば、お出かけや旅行も一緒に。
お骨がなくても
お手元にたとえお骨がなくても、写真や絵、遊んでいたおもちゃなどをそばに置いておくことも供養になります。お花や好きだったおやつをお供えしてあげましょう。必ず愛犬・愛猫に思いは届いています。
愛犬・愛猫のお骨が美しい真珠に生まれ変わる、そんなすてきな方法があります。
それは五島列島・奈留島のアコヤガイにお骨を託す、「虹の守珠(もりたま)」。
じっくり1年の時をかけ、お骨が美しい真珠に。
ひとつひとつお骨の形が違うため、「うちの子だけ」の真珠が出来上がります。
虹の守珠には、最新の先端技術が使われています。
個体識別番号をICチップで入れるため、大切な我が子がきちんと確認できます。
万が一アコヤガイがお骨を吐き出しても回収できるよう、強力な繊維を使ったケースに入れるので安心です。
1.虹守核(にじもりかく)を作る
お骨とICチップを樹脂でコーティングして、虹守核を作ります。
2.核入れをする
虹守核をアコヤガイに手作業で一つずつ託します。
核入れは夏・秋の年に2回です。
3.母貝(核入れをしたアコヤガイ)の養生
母貝であるアコヤガイを養生ケースに入れ、穏やかな波で養生させる工程にはいります。
だいたい3~4週間です。
4.沖合の海に移動
養生の終わった母貝は、沖合の海にいよいよ移動。
その間も定期的に母貝の生育状態や海水温、流れをチェックしています。
5.母貝をこまめにお掃除
沖に出した母貝には、どうしてもフジツボなどの生物が付着します。
手作業でこまめに掃除をします。
6.浜揚げ【虹の守珠】誕生
核入れから1年ほどたち、ようやく虹の守珠が出来上がります。
世界にたった一つの、「あの子からできた真珠」です。
雷も鳴り響く大雨の日の事でした。友人はびしょ濡れのまま、産まれて間もないネコを抱え、「捨てられていた。少しだけあずかって」と私に頼みにきたのです。それがぷー太郎との出逢いです。つりあがった切れ長の目もまだ開いていない、産まれたばかりの小さな真っ白い子ネコでした。
誰が教えたわけでもないのに、ぷーちゃんと呼ぶと、遠くからでも、しっかりした太い脚と大きな体でドタドタと廊下を走ってきて、私の目の前にちょこんと座り、静かに「にゃあ」と返事を返すネコでした。そして花が好きだったぷー太郎。食べるのでも遊ぶのでもなく、ただ鼻先にかすみ草をちょんちょんとつけて、愛でるだけ。今考えると、本当に不思議なネコだったと思います。起きているときも寝ているときも、病気かな?と思うほどゴロゴロといつまでも喉を鳴らし、暑くて避けても私の身体に密着して離れようとしませんでした。私の腕枕で丸まり、そうして眠りにつくのが日課でした。
私が留学することになり、ぷー太郎を一軒家に住む母の家にあずけることになりました。「必ず迎えにくるからね」と、ぷー太郎との初めての約束です。
帰国後ぷー太郎をつれに戻り、玄関先から名前を呼ぶのですが、一向に姿を現しません。そういえばさっき外で、黒く痩せこけたネコが人懐っこくニャーニャーと私の足にまとわりついていたけど、、と庭に戻ると、すっかり外ネコと化し、小さく変わり果てた姿になっているぷー太郎が待っていました。以前のように一目散に私のところに飛んできて、本当にぷー太郎なのかと名前を確認すると、一生懸命返事をしてくれます。自宅のマンションに連れて帰り、そうしてまた片時も離れない元の暮らしに戻ったのです。
数年後、ぷー太郎は重い肝臓病になりました。私は毎朝毎晩、肛門や尿道をさすり、長い時間をかけて排便や排尿を促し、ぷー太郎はトイレで倒れ動けなくなってしまうこともありました。出勤が間に合わず、後ろ髪をひかれる思いの中出かけようと声をかけると、ぐったりとしながらも短い尻尾を振って精一杯応えてくれました。
食事を摂らなくなったぷー太郎。泣きながら「ご飯を食べて。ぷーちゃん。生きて。」とお願いすると、1口2口なんとか頑張って食べてくれるのですが、『食べたふり』をすることもあり、それを下から覗き見た時の衝撃は忘れられません。明らかに私の悲しみに気遣っての行動だと分かりました。
いつも穏やかだったぷー太郎ですが、たった一度だけ噛まれたことがあります。動物病院でカテーテルを入れるとき、足を押さえた私の手を、ぷー太郎が悲鳴をあげて噛んだのです。よほど痛かったのでしょう。しかし治療のために、手を離すことができませんでした。
次の日の朝、ぷー太郎は赤く傷になった私の手を舐めていて、その感触で私は目覚めました。「ぷーちゃんいいんだよ、痛かったよね、ごめんね。ごめんね。」私はごめんねを繰り返し、ぷー太郎の名前を呼び続け、気が付くと抱きしめながらフタリで泣いていました。
やがてぷー太郎は座ることもできないほど、弱ってしまいました。介護に疲れた私は、獣医師のいるペットショップの友人に1週間あずけることにしました。「1週間したら、必ず迎えに来るからね」と、留学の時のように、ぷー太郎に約束をしました。しかし私は、その『約束の日』を破ってしまったのです。
ぷー太郎は1週間私を待ちわび、その次の日旅立って行きました。友人から「ぷーちゃんは約束を守ったよ。本当に待っていたよ。」と、以前うちに長い間居候し、ぷー太郎のことをよく知る友人でしたから、正直に全てを報告してくれました。
悔やんでも悔やみきれません。私の後悔は、あの日からずっと続いています。それからは、出かける時ですら、ぷー太郎の位牌と片時も離れることはありませんでした。
あれから25年経ちます。しかし今もなお、真っ白で凛々しいひげ、勇敢な佇まい、あの温もり、愛しい肉体が私から離れません。何をしても後悔と愛おしさは失われません。これがきっとペットロスということなのでしょう。
ある日、真珠葬のことを知りました。愛するペットのお骨をアコヤガイに託し、真珠にする葬儀です。私の心とぷー太郎の肉体があった証拠を、そしてふたりの絆を、奈留島のアコヤガイに託そうと決心しました。
来月、ぷー太郎のお骨は奈留島へと飛びます。浜あげは1年後。ぷー太郎のことで、こんなにワクワクする気持ちは久しぶりです。
真珠葬の虹の守珠には「約束」というフレーズがあります。
愛犬・愛猫を想う気持ちは、何年経っても褪せることはありません。むしろ日が経つにつれて、亡くした悲しみが大きくなることもあります。ずっと悲しいということは、ちっともおかしなことではありません。葬儀をすることは、そんな悲しみを少しでも癒し落ち着かせる効果があります。
一度葬儀をした方でも、仏壇を作ったり、お骨をパウダーにしてネックレスに入れたり、真珠にしたりすることで、少しずつでも前向きになっていくことができます。お骨がなくても、写真や遺品に声をかけることが供養になります。お花や好きだったフードをお供えしてあげましょう。大切なのはご自分の悲しみに寄り添いつつ、愛犬・愛猫を想う気持ちです。