犬は皮膚病リスクが高い動物で、原因と種類が多くあります。
皮膚そのものに症状のある場合と、体の内部に疾患がありその影響で皮膚に症状が出る場合があり、
軽度で比較的早く治るものから生涯を通じて付き合っていくものまでさまざまです。
原因が多岐にわたる皮膚病も、栄養面から改善できることも多く、
食事内容の見直しと適切なサプリメントの使用は、改善と予防のために検討すべきことと考えられます。
栄養素のバランスをとることが必要ですので、獣医師と相談しながらすすめると安心です。
各栄養素の欠乏により起こる症状
- タンパク質とエネルギー不足
タンパク質は皮膚や被毛の主要な構成成分です。皮膚や被毛の発育に必要なタンパク質やエネルギ―の不足は皮膚のターンオーバーが正常に行われなくなるため角化異常が生じ、脱毛や乾燥を引き起こします。皮膚本来のバリア機能の低下から細菌や感染症も受けやすくなり、傷も治りも遅くなります。
- 必須脂肪酸不足
必須脂肪酸は皮膚の水分喪失や栄養素の損失を防ぐ角質層のバリア機能に欠かすことができません。また傷も治りも遅くなりますし、感染症にもかかりやすくなります。
- 亜鉛不足
身体に含まれる亜鉛のうちおよそ20%が皮膚に存在しており、欠乏すると表皮の肥厚、びらん、肉球のひび割れなどの症状があります。不適切なミネラルサプリメントの過剰投与も亜鉛の吸収を阻害します。
- ビタミンA不足
ビタミンAは上皮細胞の生成や増殖、被毛の成長にかかわります。ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜は潤いを失い、乾燥して傷つきやすくなります。過剰摂取も要注意です。
- ビタミンE不足
抗酸化作用が高く、紫外線による皮膚障害からも皮膚を守ります。一般的なペットフードを食べている場合は欠乏はほとんどおこりませんが、まれに不飽和脂肪酸の過剰摂取で皮下脂肪の炎症がみられることがあります。
- ビタミンB類不足
タンパク質や脂質代謝にかかわるため、欠乏すると皮膚や被毛の健康が損なわれ皮膚炎などを生じやすくなります。
参考文献
- 桜井富士朗,島田真美 基本からよくわかる犬と猫の栄養管理,インターズー,東京,2016
参考記事